今から約10年近く前に到来した婚活ブーム以降、婚活を卒論テーマにする大学生は毎年少なくないようです。婚活とはまだまだ無縁に思える大学生が、なぜ「婚活」をテーマに選ぶのでしょうか。そこでこの記事では婚活が卒論テーマに選ばれる背景について考えながら、婚活は卒論テーマに向いているのかどうか、その面白さと難しさについて解説します。
目次
婚活を卒論テーマに選ぶ学生たち
みなさんアモっていますか?
大学には様々な学部・学科があり、卒論のテーマもバラエティに富んでいます。
そんな中、「婚活」もそうした数ある卒論テーマの一つとして取り上げられることがあります。
しかも、それは珍しいことではなく、婚活ブームが始まった2009年以降、婚活をテーマにした卒論を書く学生は決して少なくないようです。
大学生と婚活…?
婚活とはまだまだ無縁に思える学生が、なぜ婚活を卒論のテーマに選ぶのでしょうか?
そして、そもそも、婚活は卒論のテーマとして向いているのでしょうか?
大学生が婚活を卒論テーマに取り上げる理由やその背景を考えるとともに、その面白さや難しさについて解説していきます。
大学生にとっての婚活とは?
晩婚化が進む現在の社会において、それこそ大学生にはまだまだ無縁に思える「婚活」。
彼らにとって婚活とはどれくらい身近なもので、どういった存在なのでしょうか。
身近な問題になりつつある婚活
「婚活」というワードはすでに社会的に認知され、CMや雑誌で目にしたり、人々の会話でもよく耳にするようになりました。
つまり、大学生にとってもそれは例外ではなく、婚活という言葉自体はみんな一度は耳にしたことがあるでしょうし、またどういうものなのか漠然とではあっても理解している人は多いはずです。
また、自分自身はまだ婚活の経験がないとしても、兄や姉、親戚、先輩など、自分の周りに「婚活している」人がいる、あるいはそういう話を耳にしたことがあるという状況が決して珍しいものではなくなってきているのではないでしょうか。
こうした社会の流れの中で、大学生にとって「婚活」は「結婚」や「離婚」、「就職」、「転職」といった言葉と同じように、「自分はまだ経験はないが、いずれするかもしれない」、つまり、これからの自分の将来において、絶対に無関係だとは言い切れないイベントの一つとして意識するものになってきていると言えるでしょう。
社会問題を考える上で無視できない婚活
現代社会において、婚活が「個人的」には身近なものとなってきたことに加え、「社会的」には今の日本が抱える様々な問題と密接な関係があることも、大学生が卒論テーマに選ぶ理由の一つであると考えられます。
時代の流れによる社会の様々な変化とともに、成人男女の未婚化や晩婚化が今後も進むことは予想され、それが重要課題である「少子高齢化問題」をさらに深刻化させる要因の一つとも言われています。
また、働き方や家族の在り方の多様化は、恋愛や結婚・子育てに対する成人男女の意識や価値観の変化をもたらし、それが日本社会に与える影響は年々大きくなっています。
若者の都市部への流出が多い地方では、「なかなか出会いのない地元男子にお嫁さんを!」と、自治体が積極的に婚活を支援する動きも見られるようになり、もはや婚活は個人だけの問題ではなくなってきていると言えます。
婚活は卒論テーマとして扱いやすい?
このように、日本社会と婚活との関係を考えていくと、婚活そのものはプライベートなものであることには変わりませんが、もはや婚活は、他人事と言って笑っていられるものではなく、また、個人の問題という言葉で簡単に片付けてしまえるものでもない状況にあると言えるでしょう。
そうした観点から見ると、「婚活」には、大学生が卒論テーマとして取り上げるのに十分な、多くの論点が見えてきます。
社会の動きと婚活を関連付ける~社会的アプローチ~
社会の動きと婚活とにはどんな関係があるのでしょうか。
(1)婚活の一般化
婚活が一般社会に浸透してきた背景としてまずTVなどのメディアの影響が大きいと言えます。
婚活・お見合い番組やCM、ドラマ、雑誌、ネットなど、普段の生活の中で目にしたり耳にする頻度が高くなったことで一般社会に広く受け入れられるようになった今、もはや特別なものではなくなったと言えるでしょう。
(2)婚活のニーズの高まり
アニメや漫画、コスプレ、アイドルといったオタク文化が広く認識されてきたことにともない、同じ趣味を持つ者同士の結婚、あるいは理解ある相手との結婚を可能にするための手段として、婚活というシステムが果たす役割も大きくなってきています。
(3)価値観の変化
しかしその一方で、結婚しなくてもいい(世間体を気にしなくてもいい)という考え方、また、自分らしく生きることを求める考え方・価値観も社会的な広がりを見せる中、その結果として生じる未婚化・晩婚化の問題と婚活とを関連付けてみることも興味深いと思われます。
(4)経済的事情
さらに、雇用問題や働き方の多様化にともなう所得格差、平均年収の減少も未婚化・晩婚化問題とは無関係ではなく、それは、婚活にも大きな影響を与えています。
こうした社会の流れの中で婚活をどのように捉え、どのように関連付けるのか、そこには無数のアプローチが存在します。
様々な学問分野から婚活を考える~学問的アプローチ~
上述のよう、社会的アプローチからも様々な視点・論点が考えられますが、卒論となると、そこには学問的アプローチも必要となるでしょう。
例えば、経済学的、社会学的、福祉学的、コミュニケーション学的、心理学的、民俗学的、人間関係学的、メディア…等々。
ここには書ききれない、もっと複雑で、もっと細かい、多種多様な学問分野が大学には存在し、研究テーマもバラエティに富んでいます。
そうした学問的なアプローチ・分析・研究から、「婚活」というものをどう捉え、何と関連付けて、どのような論点を導き出すのか――可能性は無限です。
婚活を卒論テーマにする面白さと難しさ
次に、「婚活」を卒論テーマとして選ぶことの面白さと難しさについてそれぞれ見てみましょう。
学生だからこそ抱ける将来への希望・展望
学生のみなさんは、結婚というものに憧れを抱いていますか?
時代とともに恋愛感や結婚観は変化します。
とは言っても、やはり既婚者に比べればまだまだ夢や憧れはありますよね?
もちろん、学生結婚をされている方、既婚者で学生になられた方もいらっしゃるとは思いますが、学生だからこそ抱ける、結婚に対する夢や希望、将来的展望を持って卒論に取り組んでください!
普段耳にする、あるいは目にするニュースや新聞、雑誌、周囲の人間関係、等々――夢や憧れを抱けない状況や現実はたくさんあります。
それでも悲観的な結論に結びつけるのではなく、事実や問題点とともに、前向きな結論・提案・対策を導き出してください。
未来の担い手である学生のみなさんだからこそそれが許されるのであり、そこには挑戦する楽しさ・面白さがあるはずです。
婚活についての知識・経験・想像力の限界
結婚についての知識・経験・想像力の限界
既婚者の学生の方を除くと、ほぼ全ての学生の方は結婚生活未経験となります。
そもそも、結婚というものがまだ遠い未来のことでしかなく、現実味がないでしょう。
ましてや、婚活となると、「結婚したい人がする」ものであるため、自分とはまだまだ無関係だと思っている人がほとんどだと思います。
そんな学生の方にとっては、結婚や婚活についての知識や経験は圧倒的に不足していて、想像力を働かせるにも限界があります。
そこが「婚活」をテーマに選ぶ難しさの一つだと言えます。
それを補うためには、大学やゼミの教授や自分の親、既婚者の知り合い等、もし身近に既婚者がいるのであれば、協力してもらうのが一番です。
フィールドワークの大変さ
卒論で必要となるのがフィールドワークです。
どんなフィールドワークが必要になるかは、どんな卒論を書くのかによって変わってきます。
ただ、一つはっきりしているのは「婚活」についての卒論を書くわけですから、婚活に絡んだ何かしらの調査を行うことが必要になるということです。
アンケートやインタビュー、資料やデータ集め、分析等、実際に「婚活をしている人」の、しかも数人ではなく、数十人、数百人のデータが必要になるかもしれません。
学生の方にとっては非常に厳しいですよね。
そうした場合の解決のヒントとしては、「経験者に聞く」ことと「経験者になる」ことです。
まず、「経験者に聞く」ですが、これは結婚相談所に直接取材を申し込むのが一番でしょう。
結婚相談所には、卒論テーマに「婚活」を選んだ学生からの取材申し込みが実際にあるそうです。
全ての結婚相談所が対応してくれるかはわかりませんが、問い合わせをしてみて損はないと思います。
また、「経験者になる」ですが、実は最近では、「学生向けの婚活パーティー」も開催されているのをご存知でしょうか。
そうした場に実際に参加して、自分で体験してみるのも一つです。
このように、「婚活」という、学生にとって未知の領域でのフィールドワークは決して容易なものではありませんが、だからこそ、知る楽しさ、調査する面白さは確実にあると言えるでしょう。
婚活は卒論テーマに向いている?~まとめ~
以上のように、「婚活」は、卒論テーマとして選んだ場合、様々な角度・視点からのアプローチが可能であり、豊富な論点を提供するものだと言えます。
学生にとって未経験の分野であることから、興味深く、研究対象としてはとても面白いデータ収集・分析ができるのではないでしょうか。
しかし同時に、知識や経験の限界、フィールドワークの難しさを内包していることも事実です。
大学生のみなさん、いい卒論が書けますように!
以上アモーレでした!